(コラム)今後の不動産価格について

2024年02月17日

売買や賃貸の契約時にお客様と雑談をすることがありますが、よくある話題が現在の不動産の値段(売買価格や家賃相場)についてです。契約当事者となったお客様にとってその価格が高値掴みなのか割安なのかは気になるところだと思います。最近では次のように答えております。「ここ10年で不動産の値段は上がってます。では今後はどうなのかと言ったらおそらく上がると思います。」と。不動産業者は契約のときに今後不動産価格が下がると心では思ってもなかなか言わないものでですが、私はしばらくはまだ上がると考えております。

 

何を根拠にそんなことが言えるのかというと、まずは建物の建築費が上昇している点です。当社の例ですが1995~2000年ごろは軽量鉄骨造の8部屋のワンルームアパート(一部屋当たり20~25㎡)建築費は3500万円くらいでしたが2010年ごろには同様の規模のものが5,000万円、2015年ごろは6,500万円、2020年ごろには7,000万円と上昇しました。建設会社の担当者と話していても資材価格は年々上がっている。また最近は建設会社のび下請け会社の従業員の賃金も上がっているといいます。

 

次に長期金利の上昇です。日本の場合長期金利は10年国債の金利に影響されますが、国債の年利回りは2016年から2022年ごろまでは0%近辺だったものが2023年ころより上昇してきました。不動産価格の算定法の一つに収益還元法というものがありますが、この算定方法は長期金利の影響を強く受けます。長期金利の上昇が続ようなら不動産価格も上昇します。

 

ここでのポイントはマーケット全体の不動産価格がどうなるかであって個々の不動産に関しては個々の事情により変動があるので一概には言えない。また、経済やマーケットが今のままならしばらくは上がるという点です。問題なのはこのしばらくが今後1年程度なのか、5年または10年なのかが誰もわからないという点です。

 

つまり、テクノロジーの進歩で例えば建築コストが下がるとか、(建築コストが下がっても、大手建設会社の利益が増えるだけでエンドユーザーの負担は変わらないかもしれません)政府の政策変更(マイホーム関連優遇の見直し)とか大規模な広域災害が起こるとか、マーケット全体に強いインパクトを与える何かが起これば不動産価格も大きな影響を受けます。

 

実際、東日本大震災が発生した後、従来は大人気だった沿岸部のいわゆる「海ちか」の物件は従来の価格では売れなくなり(暴落)、逆ザヤ物件を大量に抱えた中小デベロッパーはいくつも倒産しましたね。

 

投資の話は置いておき、結局のところ先のことは誰もわかないのですからマイホームであろうと賃貸であろうと自分が住む家に関しては、必要なときにで無理のない計画で買ったり、借りたりするのがいいのではないでしょうか。

 

 

マミーハウジング代表 竹田

 

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